LACS活用ガイドブック
7/83

61.LACSで何ができるか 2012 年 8 月の中央教育審議会答申「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて」(文部科学省,2012)では,大学や学生に求められる内容がさらに高次になっており、能動的学修(アクティブ・ラーニング)や学修時間の確保といったキーワードが挙げられ、現在でも、答申の中に必ず書かれている事項となっています。また、高度情報化の時代にあって、これらはすべて ICT を活用した教育・学習環境の確立と運用が前提として埋め込まれています。 このキーワード中、学修時間の確保といった点では、単位の実質化とも密接な関係があります。大学設置基準によれば、1単位は45時間の学修により与えられますが、このうち講義・演習には15~30時間を当て、残りの時間を自習に当てることになっています。多くの大学と同様に本学でも通常講義の場合、15時間の授業と30時間の自習をもって1単位が与えられます。しかしながら、全国の大学生に対する調査では、学生が授業の準備復習に当てる1日あたりの時間は、大学設置基準で想定される自習時間に対して大幅に少ないという現状にあり、近年、シラバスの掲載の際に、「事前事後学修課題」を記述する大学も多くなってきている状態です。 事前学修に対しては、予め次回の講義の内容を知らせ、教科書の範囲や文献提供など予習用教材の配布が考えられます。事後学修に対しては、レポート課題、小テストなどが考えられます。このやり方としては、紙媒体で行う方法、電子ファイルをメール添付で行う方法も考えられます。しかしながら、その提出物に対するフィードバックや管理の面では煩雑に感じている先生方も多いのではないかと思われます。 従来行われてきた方法の代替えとして考えられるのが、ICTの有効活用です。学生らも含め、皆さん何らかのICT機器は所有しており、いろいろな場所で通信可能となっています。したがって、事前事後学修に対しては、Webを介した形で課題の提供なども多く行なわれています。さらには、MOOCs(Massive Open Online Courses)に示されるような、授業の大規模な公開、オンデマンド動画の視聴をふまえた反転授業(Flipped Classroom)など、このICTを有効活用した新たな取り組みも行われるようになってきました。情報提供の観点では、Webを介することで可能ですが、成果物の回収、個別のフィードバックに関しては、どうすればいいのでしょう。紙で提出させ評価し、講義中に返却する。さらには、PC等にその評価などを記録しておき、学生の理解度などを把握しておく、などのような方法が一般的に考えられます。 このような中、学生の事前事後学修状況や理解度を管理するシステムのひとつとして、LMS(Learning management System)の利用が考えられます。このシステムでは、授業外課題や自習時以外でも対面授業のサポートにも利用され、成績の向上や、学生とのコミュニケーションの促進などの教育効果を上げるとされています。 本学でもBlackboardが基盤となったLACS(主体的学習促進支援システム)が稼働しており、モジュール科目から専門科目に至るまで各授業に活用されています。 LACSを使えば、学生は場所を選ばず学習できます。たとえば、掲示板機能を使って、授業時間外でも教員や学生とディスカッションしたり、授業を受ける前に配布された教材長崎大学LACS活用ガイドブック

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 7

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です