teachingtips2019
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12   長大教員のためのティーチングティップス学生とのコミュニケーションキーワード| 声かけ 自己開示 発問 フィードバック04① 声かけで関係をつくる■授業開始前の準備中に、近くにいる学生と世間話をするだけでも学生との関係ができます。それがクラス全体の雰囲気にも影響します。学生の立場で考えてみると、大学はそれまで通っていた学校と比べて、教員との「距離」を感じてしまう場所かもしれません。学生にとって、大学の教員は、残念ながら「とっつきにくい」存在となりがちです。特に、初回の授業と、毎回の授業の冒頭では、教員も学生も多少緊張している状態だと思います。緊張状態のまま授業の本題に入ってしまうと、先生自身も話しづらく、学生にとっては「話が難しく感じる」といったことにつながってしまいます。馴れ合う必要はありませんが、お互いに閉じた緊張状態ではなく、関係をつくることができる(開いた)状態にできればよいと思います。緊張をほぐす方法として「アイスブレイクのためのゲーム」(p.14)を紹介していますが、教員のちょっとした行動によっても、緊張関係をほぐすことができます。たとえば、先生が笑っているところを見せるだけでも、学生の緊張は適度にほぐれて、授業内容が頭に入ってきやすくなります。③ 発問授業中に学生へ問いかけることで、一方通行の授業から学生が考える授業へと変えていくことができます。発問と言うと「授業中に学生をあてる」ことをイメージしますが、学生に考えることを促すような働きかけはすべて発問ととらえることができます。クラス全体に向けて、「〇〇〇〇〇〇〇〇ということについて1分間考えてください」と問いかけることによっても、学生を「聴いているだけの状態」から「思考している状態」へ導くことができます。「ここまでの話について2〜3分で自分の考えをまとめて書いてください」という発問をすることで、聴く時間と考える時間を切り替えられるように導いている本学の先生もいらっしゃいます。② 先生の自己紹介■初回の授業では、先生の人となりがわかるような自己紹介をしてみてください。必ずしも授業に関わる話題にする必要はありません。自己開示することは、他者との関係をつくる近道です。授業の初回には、自己紹介をしてください。その際、専門の学問領域について話すことよりも、「自分はなぜこの分野に興味を持ったのか」という先生自身のことの方が、学生は興味を持つはずです。どのようなストーリーを経て今に至っているのかを話してみてください。先生が興味を持っている事柄について熱心に楽しそうに話している姿を見れば、それに引かれて学生もその事柄に興味を持つこともあります。

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