teachingtips2019
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28   長大教員のためのティーチングティップス12キーワード| 動画配信 講義コンテンツ作成 反転授業/反転学習 LACS動画コンテンツの活用① 講義の動画コンテンツ化■PowerPointでスライド資料を作成している場合には、「記録」機能を使うことで、簡単に動画コンテンツの作成を行うことができます。本学ICT基盤センターでもワークショップを開催しているので、ご活用ください。■LACSには作成した動画をアップして使う機能と学生の視聴状況を確認するツールが実装されています。教育の方法には様々なものがありますが、どのような方法が授業で採用されるかは、学習者の到達目標によって変わってくるものと言えます。大学の授業において広く一般的に採用されている講義法による一斉授業の形態は、明治初期にイギリスから日本に持ち込まれた方法だと言われていますが、高等教育において100年以上も受け継がれてきたこの方法は、今もなお大学教育の主軸と言える方法です。講義法による授業は、限られた時間の中で多くの情報を学習者に伝えることができるという効率面で利点があるだけでなく、教員の情報伝達と表現する力が高く、学生の学ぼうとする志向性や学ぶ能力が高ければ、十分な知識定着の成果に結びつくとも言われています。このような講義法の特徴から考えてもこの方法が採られるのは、与えられた情報の理解と知識の定着が到達目標としてあるからに他なりません。近年、ICT技術が進歩したことによりコンピュータを使った動画コンテンツの作成が容易になりました。専門的な技術がなくとも使い方の簡単なアプリケーションソフトウェアを使えば誰もが動画コンテンツを作成できるようになったのです。教育場面ではこれまでもテレビやビデオ、DVDのような形式で動画が利用されてきましたが、現在では、個人が作成した動画をWeb上にアップロードすることで、すぐに配信できるようにもなっており、多くの大学で活用が進んでいます。講義を動画コンテンツ化することの利点には様々なものがあります。学習者の理解の進度には個人差がありますが、従来型の一斉講義による情報伝達では正しく理解が深まらないまま学生が授業についていけなくなってしまうことや、情報伝達に必要以上の時間を割かなければならないことなどが課題となっています。講義を動画コンテンツ化することで、学習者自身のペースで予習復習の反復学習が可能となるだけでなく、授業をする教員も基本内容を繰り返し話す必要が無くなり、より多くの授業時間を、理解を深めるための活動や発展的な課題に取組むために使うことができると期待されます。それによって、学生が単に情報を受取るだけでは終わらずに、確実に理解し、活用できる知識として定着させることを促すことができます。もちろん、対面の講義であれ、動画コンテンツによる講義であれ、理想的な学習者のように、情報を受け取りながら他の知識や経験と関連づけて考えたり、伝えられた情報を批判的に検討したり、総合して原理を探ろうとする、ということを全ての学生が教員の導きなしにできるわけではありません。知識の伝達に加えて、思考を促す働きかけをすることで、情報の理解と記憶再生にとどまらず得た知識を運用して新しい知を生み出していくための複合的かつ総合的な力の育成が目指されます。動画コンテンツによる情報伝達と対面の授業での活動を組み合わせて行おうという試みも様々あり、その代表的な形態として反転授業というものがあります。

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