teachingtips2019
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29② 反転授業■動画コンテンツは、長時間になるのを避けて、まとまりごとに長くても15分程度とすると、集中力を保って視聴することができ効果的です。本来ならば長い講義もまとまりごとに区切って別々の動画にするとよいでしょう。■動画の視聴によって情報が正しく伝わったかどうかを確認する課題を設けておくことで、学生も確実に情報をうけとるようになります。課題は簡単なクイズのようなものでも十分です。ちゃんと視聴していれば答えられるくらいの難しさに設定しておくことで、学生も自分自身の理解を省みることができます。反転授業は、一斉授業による情報伝達と自学による復習や応用という従来型のやり方をひっくり返して、自学(動画講義の視聴)によって情報を受け取り、教室では問題演習や応用問題に取り組むという教授学習の方法です。現在はこの発想にアクティブラーニング型授業の考えが取り込まれるようになり、対面の時間においてより発展的で複合的な課題解決型の活動や集団のダイナミクスを活かした学び合いによる知識の深い理解と定着を目指した活動などを実施する設計も提案されています。反転授業を実施する際は動画コンテンツ化した講義に注意が向けられがちですが、同等あるいはそれ以上に重要と思われるのが、対面の授業でどのような活動を取り入れるかという点です。情報伝達に割かれていた時間を使って、従来の授業時間内には取り入れづらかった学習者同士あるいは学習者と教員の間での思考の交流によって、学習者が自らの理解を外に表現してみながらそれが正しいかどうかを確認して、より深い理解を得ることも期待されます。理解の深まりのような成果は、他者との協働によって効果的かつ効率的に生み出すことができます。さらには、理解が深まる実感があってこそ、その前段階での予習(授業前の講義視聴)のコストは学生にとって意味のあるものと価値づけられていくと言えます。このように、単に授業をコンテンツ化すること以上の実践レベルでの工夫が反転授業という形態には必要とされ、その効果というのは知識の獲得のみならず、より深い理解と学ぶ意欲の醸成にもおよぶと言えます。このように考えると、講義の全てをコンテンツ化して対面授業での活動をいちから考え全てを反転授業化するというのはかなりの準備が必要となり、簡単に実践できるモデルとは言えません。そこで、講義の一部(たとえば、基本となる概念のうち今後数年に渡って変更する必要のなさそうなものの解説)をいくつかの短い動画にしておき、事前視聴課題として視聴させるという形が現実的と言えそうです。動画に解説を任せて時間が浮いた分、その理解を前提とした思考の外化を伴う活動を対面授業の一部に含めることで、学生をより深い理解を伴った主体的な学びに導くことができるかもしれません。動画コンテンツ作成に興味のある方は、下記メールアドレスにお知らせください。授業の目標、授業のための既存の資料、利用できる機材などを考慮して最適な作成方法と活用方法をご提案し、コンテンツ作成を支援いたします。メール送信先アドレス: teaching_support@ml.nagasaki-u.ac.jp担当: 大学教育イノベーションセンター

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